韓国旅行といえば、おしゃれなカフェ巡りは欠かせない楽しみの一つですよね。でも、街の至る所にあるカフェの中から「本当に美味しい一杯」に巡り会うのは、意外と難しいと感じたことはありませんか?
インスタ映えする素敵な空間はもちろん大切ですが、せっかくなら味にも心から満足したいものです。実は、本物の味を探すなら、店内でコーヒー豆を自家焙煎している「로스터리 카페(ロースタリーカフェ)」こそが、旅の満足度を格上げしてくれる鍵なのです。
この記事では、韓国のコーヒートレンドを牽引するソウルと釜山のトップクラスのロースタリーカフェを厳選してご紹介します。初心者の方でもバリスタと交流しながらプロのように注文できる実践テクニックまで、あなたのカフェ体験を忘れられない思い出にするための全てを詰め込みました。

目次
超要約(30秒でわかる!)いま韓国コーヒーで何が起きている?
忙しい方のために、まずはポイントだけご紹介します。
- 何が?:韓国は、かつてのインスタントコーヒー大国から、世界でもトップクラスのスペシャルティコーヒー先進国へと劇的に進化を遂げています。
- なぜ重要?:カフェが非常に多く競争が激しいため、豆の品質と焙煎技術で勝負する本物の「ロースタリーカフェ」が次々と誕生し、全体のレベルを押し上げています。
- どう探す?:店内に大きな焙煎機があったり、店名に「Roasters」や「Roastery」と付くカフェが、味にこだわるお店の目印です。
- どこへ行くべき?:最先端のトレンドが集まるソウル(特に聖水洞・光化門・弘大エリア)と、世界チャンピオンを輩出したコーヒー都市釜山(特に田浦・海雲台エリア)が二大聖地です。
ファクトシート:まず知るべき「韓国美味しいコーヒー」の基本
韓国のカフェ巡りをより深く楽しむために、基本のキーワードを押さえておきましょう。

- トレンド名:韓国スペシャルティコーヒー (Korean Specialty Coffee)
- 韓国語原語/読み:
- 스페셜티 커피 (スぺショルティ コピ)
- 로스터리 카페 (ロストリ カペ)
- 発生源:手軽なインスタントコーヒー文化が浸透した後、豆の産地や淹れ方など、一杯のコーヒーが持つ物語を大切にする「サードウェーブコーヒー」のムーブメントが韓国で独自に発展しました。
- 主要プレイヤー(ブランド・店舗):
- ソウル:Fritz Coffee Company, Namusairo Coffee, Lowky, Anthracite Coffee, Center Coffee
- 釜山:Momos Coffee, Werk Roasters, Hytte Roastery
深掘りポイント:なぜ韓国のコーヒーは世界レベルに?味の秘密を徹底解剖
ただおしゃれなだけではない、韓国コーヒーの美味しさの背景には、ユニークな文化の進化がありました。
価値の核心①:インスタントコーヒー文化からの劇的な進化
韓国のコーヒー史は、19世紀末に高宗皇帝が「加琲茶(カベチャ)」として味わったことから始まります。その後、朝鮮戦争を経て米軍兵士が持ち込んだインスタントコーヒーが、「早く早く(パリパリ)」文化と相まって国民的な飲み物となりました。

この全国的なコーヒー消費習慣を土台に、近年、豆の品質を追求するスペシャルティコーヒー文化が花開きました。カフェは単に飲み物を買う場所ではなく、勉強や仕事、友人との語らいの場である「第三の場所」として深く根付いています。

「얼죽아(オルチュガ:凍え死んでもアイスアメリカーノ)」という流行語が生まれるほどコーヒーが日常に欠かせない存在となり、熾烈な競争の中で、独立系のカフェは価格ではなく、圧倒的な品質で勝負する必要に迫られました。この厳しい環境こそが、世界レベルのバリスタやロースターを育てる土壌となったのです。
価値の核心②:「로스터리 카페(ロースタリーカフェ)」こそが味の鍵
韓国で本当に美味しいコーヒーに出会うための最も重要なキーワード、それが「로스터리 카페(ロースタリーカフェ)」です。これは、店内で生豆から自家焙煎しているカフェのことです。
焙煎は、コーヒー豆が持つ本来の香りや風味を引き出す最も重要な工程です。自家焙煎店では、豆の鮮度が抜群なだけでなく、焙煎士が豆の個性を最大限に引き出すための繊細な調整を行っています。画一的ではない、その豆だけが持つ複雑で豊かな味わいを体験できるのが最大の魅力です。

写真映え&プロの見分け方
- 店内に鎮座する大きな焙煎機は、それだけで絵になる存在感!
- 無造作に置かれたコーヒーの生豆が入った麻袋も、本物の証です。
- 店名に「Roasters(로스터스)」や「Roastery(로스터리)」という言葉が入っていることが多いです。
実用ガイド①【ソウル編】エリア別・絶対行くべき名店5選
トレンドの震源地ソウル。ここでは、エリアごとに訪れるべき名店を、写真映えポイントと共にご紹介します。
聖水洞(ソンスドン):ソウルのブルックリンで味わう最先端の味
かつて靴工場や古い倉庫が立ち並ぶ工業地帯だった聖水洞(ソンスドン)は、近年リノベーションによってアート、ファッション、カフェが集まるソウルで最もトレンディなエリアへと生まれ変わりました。インダストリアルな雰囲気と洗練された空間が融合した、まさに「ソウルのブルックリン」です。
Lowky (로우키)
バリスタたちからも支持される本格派ロースタリー。赤いレンガ造りの建物にミニマルな看板が目印です。店内は穏やかで洗練された雰囲気で、まるで東京のカフェにいるかのよう。フィルターコーヒーを注文すると、挽きたての豆の香りを確かめさせてくれるという特別な体験もできます。濃厚でクリーミーなカフェラテはソウル最高レベルと評されており、コーヒー通はもちろん、ラテ好きにも絶対におすすめです。

写真映えポイント:ミニマルな空間で、美しいラテアートやハンドドリップの様子を撮影するのがおすすめです。

Anthracite Coffee Roasters (앤트러사이트)
廃工場をリノベーションした、無骨ながらも温かみのある空間が魅力です。その独特の世界観は、足を踏み入れた瞬間からあなたを虜にするでしょう。「夏目漱石」や「パブロ・ネルーダ」といった文豪の名を冠したブレンドコーヒーが有名で、物語を味わうような体験ができます。特に「夏目漱石ブレンド」は、柑橘類やミルクチョコレートのような風味が特徴で、多くのファンに愛されています。

写真映えポイント:広々としたインダストリアルな空間全体や、光と影が織りなす独特の雰囲気を写真に収めてみてください。

Center Coffee (센터커피)
UKバリスタチャンピオンであり、コーヒー界の重鎮と共に働いた経歴を持つパク・サンホ氏が創業した、世界レベルのロースターです。特にソウルの森店は、大きな窓から公園の緑豊かな景色を一望できる最高のロケーション。卓越したプアオーバー(ハンドドリップ)で、希少なゲイシャ種などを味わうことができます。韓国らしい「쑥라떼(쑥=ヨモギ、Ssuk Latte)」も試す価値ありです。

写真映えポイント:窓から見えるソウルの森の緑を背景に、美しいガラスのサーバーで提供されるコーヒーを撮るのがおすすめです。

光化門(クァンファムン):伝統家屋(韓屋)で楽しむ特別な一杯
Namusairo Coffee (나무사이로)
景福宮の近くに佇む、1950年代の伝統家屋「韓屋(ハノク)」を改装したカフェは、訪れるだけで特別な気分にさせてくれます。静かな中庭を眺めながら、伝統とモダンが融合した空間でいただくコーヒーは格別です。必ず試してほしいのが、シグネチャーメニューの「アマレットラテ」(ホワイトクリームとも呼ばれます)。アーモンドやピスタチオのノートが感じられる、クリーミーで優しい甘さの一杯です。

写真映えポイント:韓屋の美しい建築や中庭の風景、そしてクリームが乗った可愛らしいアマレットラテは、どこを切り取っても絵になります。

弘大(ホンデ)/麻浦(マポ):若き才能が集うコーヒーの聖地
Fritz Coffee Company (프릳츠)
バリスタチャンピオン、ロースター、ベイカーなど各分野のプロが集結して生まれた「ドリームチーム」によるカフェ。レトロなアザラシのロゴが目印で、「コリアン・ヴィンテージ」をコンセプトにした韓屋の店舗は、どこか懐かししく温かい雰囲気です。Fritzの真髄は、店内で焼き上げる絶品のパンとコーヒーのペアリングにあります。ぜひお気に入りのパンと一緒に、バランスの取れた味わいの「Old Dog」ブレンドを楽しんでみてください。

写真映えポイント:レトロで可愛いアザラシのロゴグッズや、ずらりと並んだ美味しそうなパン、韓屋の趣ある外観など、シャッターチャンスが満載です。

| ロースター名 | 主要エリア | スタイル | おすすめメニュー | 雰囲気(3つの言葉で) |
|---|---|---|---|---|
| Fritz Coffee Company | 安国/麻浦 | バランスの取れた親しみやすいブレンド | Old Dogブレンド、パン・オ・ショコラ | レトロ、活気がある、親しみやすい |
| Namusairo Coffee | 光化門 | エレガントで複雑なシングルオリジン | アマレットラテ、ハンドドリップ | 伝統的、静寂、芸術的 |
| Lowky | 聖水洞 | クリーンで繊細なフィルターコーヒー | フィルターコーヒー、カフェラテ | ミニマル、穏やか、集中的 |
| Anthracite Coffee | 聖水洞/麻浦 | 文学的、インダストリアルな美学 | 夏目漱石ブレンド、Butter Fat Trio | ラスティック、独創的、雰囲気がある |
| Center Coffee | 聖水洞 | 世界レベルのクリーンな抽出 | プアオーバー(ハンドドリップ)、쑥라떼(ヨモギラテ) | 洗練、ミニマル、穏やか |
実用ガイド②【釜山編】世界チャンピオンを輩出した港町のパワースポット3選

韓国第二の都市・釜山も、ソウルに負けないワールドクラスのコーヒー都市です。港町ならではの開放的な雰囲気の中で、最高のコーヒー体験があなたを待っています。
釜山コーヒーシーンの台頭と特徴
釜山の名を世界のコーヒーマップに刻んだのは、2019年のワールド・バリスタ・チャンピオンシップでの優勝という快挙でした。この出来事が釜山のコーヒーシーン全体のレベルの高さを世界に証明し、今では多くのコーヒー好きが訪れる街となっています。釜山のカフェは、独立系ロースタリーが密集する激戦区「田浦(チョンポ)カフェ通り」と、美しい海の景色と共にコーヒーを楽しめる「海雲台(ヘウンデ)」などの沿岸エリアに分かれています。

釜山のコーヒーチャンピオンたち
Momos Coffee (모모스커피)
2019年のワールド・バリスタ・チャンピオンシップ(WBC)で優勝したチョン・ジュヨン(Jooyeon Jeon)氏が所属する、韓国を代表するブランドです。特に、古いマリーナを改装した「影島(ヨンド)ロースタリー&コーヒーバー」は、巨大な焙煎機やコーヒー豆の袋が並ぶ圧巻のスケールで、まるでコーヒー工場を見学しているかのようです。初めて訪れるなら、ナッツのような香ばしさとバランスの良さが特徴の「釜山ブレンド」がおすすめです。

写真映えポイント:港を望むインダストリアルな空間と、巨大な焙煎設備。ここでしか撮れないダイナミックな一枚を狙えます。

Werk Roasters (베르크 로스터스)
田浦カフェ通りに位置し、モダンでポジティブな哲学を持つロースター。教会を思わせるミニマルで静謐なインテリアが特徴で、コーヒーと静かに向き合える空間です。特にエスプレッソベースのドリンクに定評があり、その美味しさは「韓国旅行全体で最もお気に入り」と絶賛されるほど。複数のドリンクを少量ずつ楽しめる「テイスティングセット」で、色々な味を試してみるのも楽しいでしょう。

写真映えポイント:スタイリッシュな店内と、美しくデザインされたコーヒーカップやグッズ。

Hytte Roastery (히떼 로스터리)
「最後の一口まで滑らかで心地よい」コーヒーを目指す、洗練されていながらも誰もがリラックスできるカフェ。一度は閉店したものの、世界中の名店を巡る旅を経て新たなビジョンと共に再オープンしたというストーリーも魅力的です。釜山で最高のオートミルクのフラットホワイトとの呼び声も高い「オートミルクのフラットホワイト」は、優しい味わいを求める方にぜひ試してほしい一杯です。

写真映えポイント:明るくクリーンな店内で、ラテアートが施された美しい一杯を撮影するのがおすすめです。

| ロースター名 | 主要エリア | スタイル | おすすめメニュー | 雰囲気(3つの言葉で) |
|---|---|---|---|---|
| Momos Coffee | 温泉場/影島 | 世界レベルの多様なラインナップ | 釜山ブレンド、本日のドリップコーヒー | プロフェッショナル、広大、教育的 |
| Werk Roasters | 田浦/広安里 | 大胆でモダンなエスプレッソ | フラットホワイト、テイスティングセット | スタイリッシュ、エネルギッシュ、コミュニティ志向 |
| Hytte Roastery | 田浦 | 滑らかで心地よい味わい | オートフラットホワイト、福岡ドリップ | 洗練、リラックス、穏やか |
実用ガイド③:初心者でも安心!プロのように注文する韓国語&マナー
言葉が少しわかるだけで、カフェ体験はもっと楽しくなります。簡単なフレーズと現地のマナーをご紹介します。
これだけ覚えればOK!注文フレーズ集
一番簡単なのは、メニューを指差しながらこのフレーズを言うことです。
이거 주세요(イゴ ジュセヨ / これをください)
少しステップアップして、好みを伝えてみましょう。

- おすすめを聞く:
원두 추천해 주세요(ウォンドゥ チュチョネ ジュセヨ / おすすめの豆を教えてください) - 味の好みを伝える(最重要):
- フルーティーな酸味が苦手な場合:
산미 적은 걸로 주세요(サンミ チョグン ゴルロ ジュセヨ / 酸味の少ないものをください) - ナッツやチョコのような香ばしい味が好きな場合:
고소한 걸로 주세요(コソハン ゴルロ ジュセヨ / 香ばしいものをください)
- フルーティーな酸味が苦手な場合:
- 甘さの調整:
덜 달게 해주세요(トル タルゲ ヘジュセヨ / 甘さ控えめにお願いします)
知っておくとスマートな韓国カフェ文化とエチケット

- 「1人1ドリンク」のルール:韓国の多くの個人経営カフェでは、「
1인 1음료(1人1飲料)」が暗黙のマナーとなっています。席を利用する人は、デザートなどをシェアする場合でも、各自一杯ずつドリンクを注文しましょう。 - 注文から返却までの流れ:
- 混雑時は先に席を確保します。
- カウンターで注文し、その場で支払いを済ませます。
- 振動して光る呼び出しベル(진동벨 / チンドンベル)を受け取ります。
- ベルが鳴ったら、カウンターに商品を受け取りに行きます。
- 飲み終わったら、食器類を返却口(Return)に戻すのが一般的です。
- 混雑する時間帯:オフィス街は昼食時(12:00~13:00頃)、聖水洞や延南洞のような人気エリアは週末の午後が最も混雑します。ゆっくり過ごしたい場合は、平日の午前中が狙い目です。

まとめ:最高の一杯は、旅の最高の思い出になる
韓国のコーヒー文化は、単なるトレンドではなく、国の歴史と職人技が詰まった奥深い世界です。本当に美味しい一杯を求めるなら、自家焙煎を行う「ロースタリーカフェ」を目指すのが一番の近道です。
ソウルの洗練されたコンセプトカフェから、釜山の世界チャンピオンが生まれた名店まで、この記事で紹介したカフェは、どこもあなたの期待を超えるはずです。
簡単な韓国語フレーズと現地のマナーを少し知っておくだけで、バリスタとの心温まる交流が生まれたり、自分だけの最高の一杯に出会えたりと、旅はさらに豊かになります。次の韓国旅行では、ぜひこのガイドを片手に、あなただけの一杯を探す旅に出てみてください。
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用語集
- 로스터리 카페 (ロストリ カペ):自家焙煎を行うカフェ。コーヒーの味にこだわるならまず探すべき場所。
- 핸드드립 (ヘンドゥドゥリッ):ハンドドリップ。豆本来の繊細な風味を最も楽しめる抽出方法。
- 산미 (サンミ):酸味。フルーティーな風味の指標。
- 고소한 맛 (コソハン マッ):香ばしい味。ナッツやチョコレートのような風味。
- 얼죽아 (オルチュガ):「凍え死んでもアイスアメリカーノ」の略。韓国のコーヒー愛を象徴する言葉。